CDOの重要性が高まる!企業がデジタル時代を生き残るために重要なCDOの役割

CDOの重要性が高まる!企業がデジタル時代を生き残るために重要なCDOの役割

大手監査法人PwCグループの戦略コンサルティングサービス部門Strategy&は2019年に日本企業におけるCDO(Chief Digital Officer:最高デジタル責任者)に関する調査結果を発表しました。調査によるとCDOを設置している企業はグローバル規模では21%ですが、日本企業はわずか9%にとどまっています。デジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進展するなか、CDOの役割は今後ますます重要性を増していくと考えられるため、CDOが企業経営に果たす役割、あるべき姿、必要とされる資質についての理解が必要です。

また、こちらのHarvard Business Reviewの調査では、企業のDX化に関しての阻害要因、調査結果、成功事例などが掲載されています。
併せてご一読ください。

CDO(Chief Digital Officer)とは

日本では経営幹部である役員は、商法・会社法で規定されていますが、役員に相当するCDOという役職について法律では規定されていません。CDOの普及啓蒙、人材育成、コンサルティングを目指している一般社団法人 CDO Club Japanは、CDOの果たすべき役割を以下のように定義しています。

「AI(人工知能)、ロボティックス、IoT、デジタルマーケティング、ドローン、ビッグデータなどを有用に活用し、日々変化し続けるテクノロジーと消費者の行動に迅速に対応し、幅広いデジタル戦略を統括、組織を横断して改革を推進する」

多くの企業が避けて通れないDXの必要性・重要性が増すなか、CDOの設置率でグローバル企業に後れをとっている日本企業においてもCDOの設置が進むと考えられます。

Chief Digital OfficerとChief Data Officerの違い

重要性が増すCDOですが、CDOは2つの役職の略称です。ひとつはChief Digital Officer(最高デジタル責任者)、もうひとつはChief Data Officer(最高データ責任者)ですが、その役割は大きく異なります。
Chief Digital Officerは、「ビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをベースに製品やサービスの開発、ビジネスモデル、組織、業務プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」などのデジタル戦略を担います。
一方、Chief Data Officerは、「企業内外のデータを活用した収益化、データに基づく新たな企業経営の変革や経営のための意思決定」などの役割を担います。
最近では単にCDOという場合は、主にChief Digital Officerを意味することが多くなっています。

CIO(Chief Information Officer)とCDOの違い

CDOと混同しやすい役職に、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)があります。CIO とCDOには重なる役割がありますが、CIOは主に社内の情報システム構築やセキュリティリスク面を担当。そのため、CIOはITマネジメントによって企業内の守りを固める役割を果たします。一方、CDOは顧客志向でIT・デジタル技術を活用して企業を変革するために攻めの役割を主に果たします。従来、企業のIT戦略を担う経営幹部といえばCIOが代表的でした。ただし、日本企業でのIT部門は間接部門のひとつとしてコストセンターとみなされることが多く、海外企業に比べるとその権限や予算は大きくありません。役職としてCIOを置いていても、その権限はIT部門内にとどまり、事業部の業務プロセス変革や経営方針に積極的に関与することはできていない状況でした。しかし、時代は、DXによって企業のデジタル戦略の重要性が増し、IT部門の役割も見直されるようになっています。昨今では全社横断でデジタル事業を推進するために、CIOの権限を広げてCDOに置き換えたり、CIOとは別にCDOを設置したりする企業が増えています。このほか、企業によってはCTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)の役職が置かれることもあります。CTOは、基礎技術や製品技術の開発を統括したり、社内のエンジニアで技術標準・開発標準を定めたり、プロジェクトをマネジメントしたりといった役割を担います。

CDOが企業経営に果たす役割

CDOには、デジタル技術を企業経営に戦略的に活用していくために、IT化・デジタル化を経営的な視点や顧客・ビジネス指向で、業界や国という垣根をもこえた新たな視点からアプローチしていくことが求められます。CDOが責任を担う範囲は、DX、データ管理、アナリティクス、データ・サイエンス、および企業の損益にまで及びます。

そのため、CDOは以下の役割を果たす必要があります。

・新規事業開発、業務プロセス改革、組織の最適化など組織横断で、デジタル技術を活用・推進してデータ主導によるビジネス改革をけん引する

・新しいデジタル技術の将来性・可能性を理解し、ビジネスモデルのアイデア出しを行う。また、そのために社外のプロフェッショナルとのネットワークを構築する

・競争力強化のためのデータの活用による収益の増加、業務プロセスの自動化による生産性の向上、顧客との接点のデジタル化とそれによる顧客体験の変革・創造、デジタル技術を活用した新規事業の創出などを目指す

・デジタルビジネス推進の旗振り役として自社のビジョン策定と経営トップや社内への情報発信のため、事業部門とのコミュニケーションを図る

・デジタル化を通じた既存業務の変革のために既存の情報システム(レガシーシステム)との連動も考慮し、情報システム部と協力して全社最適の視点でデジタル化を推進する

なお、現在、起こっているデジタルトランスフォーメーションとは、デジタル技術の単なる利用ではなく、デジタル戦略を構築し、組織や企業文化・風土を変え、企業価値を再創造することであって、その推進をCDO が担います。

CDOに必要とされる資質・スキル

CDOに必要な資質・スキルは、CEO、COO、CFOなどの「Cスイート」と呼ばれる企業経営の最高幹部であることから、企業経営を担う知識・スキルは大前提として必要です。そのうえで、デジタル技術の飛躍的な進化・革新、多様化、複雑化が企業を取り巻く経営環境に大きな影響を与え、変化を迫る時代には、その変化に企業が対応していくために、CDOにはCIOよりもさらに広範なスキル、人脈が求められます。具体的には以下の資質・スキルが要求されます。

・ITやデジタルの知識は当然必要ですが、必ずしも専門家のレベルまでは必要でなく、それらの知識を企業戦略にどのように適用させていくかを考え、ほかの経営幹部に正確に伝えられるスキルが必要です。つまり、技術者の専門的な知識をビジネスに活用する創造力と、技術が詳しくない経営幹部に分かりやすく翻訳して伝えられるコミュニケーション力が必要です。

・DXなどIT化・デジタル化を、組織を横断し、連携させて、ときには既存の事業構造や組織、考え方・企業文化を破壊して、推進しなければならないことから、創造的破壊ができる強いリーダーシップが必要です。

・新規事業を創出、収益性の低い事業から撤退など企業としては合理的な判断であっても、担当する現場部門からは強い反発が予想され、社内調整に手間取っていると、その間にも事業環境は変化していくことから意思決定の速さ、調整能力が必要です。

CDOの役割が増大! DX推進にはCDO設置だけでは時代遅れの理由

DXで最先端を行く海外企業では、CDOを設置するだけでは、もはや時代遅れという議論が始まっています。これは、CDOの設置が時代遅れという意味ではなく、その逆でCDOが果たすべき役割の重要性が高まっていることを意味しています。その理由は企業経営とデジタル化は切っても切れないものになっていることから、全社のデジタル戦略を担う役割はCDOのみではなく、「CxO」と呼ばれるCEOを始めとした経営の最高幹部らのすべてが担うべきであるからです。これは、CDOを誰が担うかということではなく、企業経営にCDOが担うべき役割が重要なことから経営幹部の全員がCDOの役割を担う必要があることを意味しています。

企業経営に占めるデジタル戦略の重要性とともにCDOが果たす役割が拡大

企業経営にデータや情報が重要性を増していくなか、CDOは企業活動をアナログからデジタルへと変革させる重要な役割を担います。企業における幅広いデジタル戦略を統括し、組織を横断して変革を推進するCDOを役職として設置する企業が増加しており、企業はCDOの重要性を認識し、CDOに大きな期待をかけています。

 

参考:

 

『記事提供元:株式会社イノーバ』