CFOの役割「経営強化と変化の激しいビジネス環境への対応」とその資質・理想像

CFOの役割「経営強化と変化の激しいビジネス環境への対応」とその資質・理想像

CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)は、資金調達、予算、税務など財務の最高責任者としての業務を行うだけでなく、経営者の視点を持って財務の面から最高経営責任者であるCEOの経営判断をサポートする重要な役割を担います。経営環境の変化が激しく厳しい現代において企業が生き残り、持続的な成長を続けていくためには財務の強化が必要であることからCFOの役割の重要性がますます高まっています。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展が目覚ましいなか、CFOには、「財務中心から、デジタル、統計、オペレーション、コラボレーションに関する高度なスキル」が求められています。CFOの役割や資質、あるべき姿について紹介します。

CFO(Chief Financial Officer)とは

CFOとは、経営資源の3要素のひとつである企業の財務に関する戦略を決定し、その戦略の執行を計画する最高責任者のことです。そのため、CFOは財務の最高責任者ですが、財務の専門家であればよいわけではありません。CFOは、財務戦略とその執行の面から財務に関する知識やスキルで企業経営を成功させる経営者の一人としての責任も担うことから、財務・会計の知識のみならず、自社のビジネスと置かれている環境、技術動向、競合など幅広く経営に関する知識と洞察力が求められます。

今までは経理部しかない企業は、経理部長が財務戦略を立案する役割を担い、経理部と財務部の両方がある企業の財務戦略は財務部長が担っていました。しかし、経理部長は、過去の経営活動を記録する業務を基本とし、将来の企業経営には深く関与していません。財務部長は、年間の資金計画、必要な資金の調達、予算・キャッシュフロー管理など企業経営に関係する業務を担いますが、役員職であっても企業の資金に関する情報を全体的に把握し、経営方針に従って財務戦略を立案するのみで経営に深く積極的に関与することはありませんでした。

しかし、経営環境が速く、激しく変化する現代においては、連結会計、時価会計、キャッシュフロー管理など財務管理の迅速性・透明性・正確性がより強く求められ、財務戦略の面から経営を支えないと経営戦略の遂行に支障が出たり、黒字倒産を招いたりする可能性が高くなります。そのため、CFOの果たす役割の重要性が増しています。財務戦略を変化する経営戦略に適合させ、戦略の遂行を財務面から支えるCFOの役割は企業経営を成功させるために極めて重要になってきています。

CFOの役割がなぜ重要になっているのか?

CFOの役割の重要性が増している理由とCEOとCFOの役割分担について紹介します。

CFOの役割が重要になってきている3つの理由

1.経営環境の変化

現代の経営環境は、変化が速く、不確実性が高く、競争は激しくなっていることから、企業価値を高めるには経営判断のスピードアップを図り、環境の変化に応じて迅速に経営資源の配分の見直しを行い、経営資源を常に最大限に活用できるようにすることが必要です。また、売上という量的拡大の追求から利益を追求する質的拡大が重要になるなか、売上至上主義ではなく利益を重視する財務至上主義による経営の重要性が増しています。そのため、CEOが策定した成長戦略を実現するためには、CFOが財務指標に基づいたリスクとリターンを評価し、最適な資源配分を達成する役割を十分に行わねばなりません。

2.資金調達方法の多様化

右肩上がりの景気や土地の値上がりが続いていた時代は、金融機関からの資金調達が容易でしたが、バブル崩壊、リーマンショック後は金融機関からの借り入れが厳しくなります。そのため、投資家からの直接金融で資金調達する必要性が増大しています。従来であれば、金融機関への融資依頼は自社の財務状況や財務計画の説明が中心で済みました。

しかし、融資が厳しくなった現在では、自社が対象とするマーケットの成長性、自社の競争優位性などの経営戦略を含めた財務戦略を、説得力を持って説明し、将来の経営に問題ないことを理解してもらう必要があります。金融機関からの融資で不足する場合や、融資を受けられない場合、投資家から資金調達をしなければなりません。投資家からの資金調達では、金融機関以上に投資に対するリスクがなく将来のリターンが大きいことを財務面から理解してもらう努力をしなければなりません。しかし、CEOには財務に対する深い知識が不足し、従来の財務部長には経営戦略・事業展開に関する十分な理解が不足しています。そのため、2つの面から将来の企業ビジョンを明確に語れるCFOの役割が重要になっています。

3.デジタル化の進展

AI(人工知能)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、ブロックチェーン技術、セキュリティなどのデジタル技術を活用して、財務・経理業務の効率化を促進し、より高度な分析・予測を行い、その情報をもとに迅速で的確な財務戦略でCEOの経営判断に関する意思決定を支える役割を果たすことがCFOに求められています。世界最大規模のコンサルティング会社アクセンチュアが日本を含む10カ国で調査した結果によると、CFOの76%が、求められるスキルは、財務からデジタルや高度な統計処理に関する知識、事業を見据えたコラボレーション能力に移行していくと回答したと2018年に発表しています。

CFOとCEOの役割分担

CEOは企業の経営全体の経営ビジョンや経営戦略に責任を持つ最高経営責任者で、CFOは企業の財務の最高責任者として、CEOを財務面で支える役割を担います。

現代のCFOに求められる資質とあるべき姿

CFOに必要な資質とあるべき姿は以下の2つです。

1.   財務に関する深い知識と会社全体を見渡す経営者としての視点を持つ

会計、税制、ファイナンス、リスクマネジメントなど財務に関する専門家でなければならないのは当然ですが、それだけでなく経営幹部として戦略的な役割を担い、最高経営責任者であるCEOの意思決定を支援するために財務以外にも幅広いビジネスの知識とオペレーションの経験、およびそこから生まれる経営に関する鋭い洞察力が必要です。

2.   デジタル化の推進とデータ活用による企業価値の増大と創造

デジタル化を避けられない企業にとってCFOは、デジタル化の推進、デジタル技術導入による業績改善はもちろん、既存価値を創造的に破壊し、ビジネスモデルの変革・新しい収益源の創出を担うためのデジタル化を推進するデジタル投資をけん引することが求められています。また、デジタル化で企業内外の大量のデータを活用できるようになり、いかにビジネスにデータを活用できるかがビジネス成功のカギとなりつつあり、CFOはデータ活用により企業価値を創造し増大させていく資質が必要です。

具体的には、新たなマーケットを見つけ出したり、カスタマーエクスペリエンスを改善したり、イノベーションを生み出す原動力としてデータを活用しなければなりません。そして、CEOに対してデータからビジネスストーリーを描き、戦略や意思決定に役立つアナリティクスやインサイトを作成して分かりやすく報告することが重要になっています。

 

CFOが企業のデジタル化で果たす役割がますます重要に

CFOが企業経営に果たす役割として、従来の会計・財務管理の責任者としての役割のほか、企業全体のデジタル化の支援、新しいビジネスモデルの構築やその推進計画策定への参加など、より企業経営の深い部分にまで関わっていくことが必要になってきています。
昨今のトレンドワードともいえるデジタルトランスフォーメーション(DX)に関してもCFOは無縁ではありません。
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CFO 室が混迷する情勢の中で財務の俊敏性とレジリエンスを確保する方法

 

参考:

 

『記事提供元:株式会社イノーバ』