Anaplan によるシナリオ プランニング パートII:インサイトからアクションへ

Anaplan によるシナリオ プランニング パートII:インサイトからアクションへ

前回の「Anaplan によるシナリオ プランニング パート I: 「What-if」(仮説検証) の力」では、Anaplan で効果的なシナリオ プランニングを行うために必要な重要手順を紹介し、予測 (「What」) の作成と予測イベントの影響評価 (「So What」) を行うメカニズムについて重点的に説明しました。パート II となる今回は、ビジョンとインサイトの段階から、アクション (「Do What」) の検討に移ります。

Anaplan に含まれる多くのモデリング ユースケースと同様に、使用できるアプローチは複数あります。以下では、効果的なモデル構築テクニックと業務上のベスト プラクティスを採用した手法の中で、私が最も良いと考えているものをご紹介します。

主な要素: ドライバー、アクション、プレイブック

  1. 基になるモデルはドライバーベースにして、シナリオを複数含めることをお勧めします (詳しい説明はパート I を参照)。このようにすることで、アクションを使用して、ドライバーの値の調整と結果の再評価を動的に行なえます。
  2. 各アクションは独立的に使用して、ドライバーの値を少しずつ調整できます (図 1、2、3)image2.jpg
    図 1: 資本支出の調整

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    図 2: 生産性の調整

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    図 3: ドライバー値の調整

    こうした影響にはさまざまなタイプがあります。以下に一例を示します。

    1. 生産性の変化: 単一のリソースで処理可能なアクティビティの量の調整
    2. ビジネスまたはアクティビティの量の変化: ビジネス単位やアクティビティ (労力) 単位の数量の調整 (例: ビジネス単位を販売数とし、アクティビティ単位を出荷件数または対応済みの電話件数とする)
    3. 価格設定の変化
    4. 資本支出の変化およびキャッシュと減価償却に対する影響
    5. 規模の影響を受けない事業費または人材量の変化
  3. アクションは、プレイブックにまとめることが理想的です。今回のモデルでは、個別のアクション リストを使用してプレイブックにアクションを割り当てています。New UX では、フォームを使用することで、ユーザーが臨機応変にアクションの作成と割り当てを行えるようになります (図 4)。
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    図 4: プレイブックとアクションの有効化、P&L に対する影響の評価

  4. プレイブック及びアクションの有効と無効は、簡単なブール値を使用することで切り替えられます。
  5. モデルでは、プレイブック及びアクションの影響を含めた状態と除外した状態の両方で、出力されたモデル要素を評価できるようにする必要があります。

デザインの検討事項

  • 一般的に、モデル全体や計算をプレイブック又はアクションでディメンション化することはお勧めしません。大きなモデルの場合、そのようにするとサイズの影響が大きくなる可能性があります。特に、それらのディメンションが複数のシナリオや他のディメンション (製品や顧客など) に適用されている場合、影響は著しく大きくなります。その代わりに、選択した変化から生じる複合的な影響に対して、ドライバーの値を調整することをお勧めします。
  • このデザインには、ドライバーの値の変化が付加的になるという効果があります。モデルの複雑性が高い場合には、ドライバー間のインタラクションを自動化する手段が必要になるかもしれません。たとえば、あるアクションが別のアクションに対して非線形的な影響を及ぼすとしましょう。複数のアクションを使用している場合、アナリストは必要に応じてアクションのカスタマイズ及び有効化と無効化の切り替えを行うことで、手作業でこうしたインタラクションを調整できます。
  • きわめて複雑な Anaplan モデルでは、変数間のインタラクション及び時間の経過によって循環計算が生じがちです。このような問題は、時間ディメンションの流用により解決できます。または、最適な解決策を備えた外部機能を使用してもかまいません。

ベスト プラクティス

  • モデラーは、入力の変化に対する出力の感度を評価できる必要があります。たとえば、売上が 5% 増加した場合、生産性が 5% 増加した場合と比べて収益性にどのような影響が生じるでしょうか。このような評価を行えれば、最も可能性の高い実行可能なアクション セットを特定できます。
  • このようなモデルの構築、及びシナリオのテストは、それ自体が重要です。入念に検討されたモデルがあれば、起こり得る結果の確率範囲と変動性、及び組織として準備、予測、対応に採用できるアクションの両方を把握できるからです。
  • モデル要素はすべてドライバーベースで調整できるようにし、かつ、全アクションをそれぞれが影響するドライバーすべてにリンクさせます。たとえば、販売数量 (又は製品/顧客ミックス) を変えると、売上だけでなく、販売後のあらゆる数量ベースのアクティビティ (出荷、請求、顧客との接触など) にも影響が生じるとします。この場合、適切なモデル管理担当者を用意することが重要になります。モデルは、迅速な意思決定のために使用されることが多くあります。そのため、モデル及びアクションの仮定について、モデル構築前、及びモデル構築後も定期的に企業の内容領域専門家の協力をあおぐことが欠かせません。
  • たとえば、サッカーのプレイブックなら、特定のプレイにはチームの各メンバーのアクションが含まれています。今回の Anaplan モデルでは、一つのプレイブックに複数のアクションを接続しているので、アクティビティ一式は目的の成果を軸として調和がとれたものとなっています。
  • プレイブックの評価は、それぞれのシナリオ全体で行います。ドライバーの値がシナリオごと、及び時間の経過で変化するかどうか検討してください。
  • アクションの作成では、他の分析情報も使用しましょう。たとえば、次のモデルでは、アクティビティに基づくコスト情報を活用して収益性の低い製品や顧客を特定し、望ましくないシナリオにおいてそれらの製品や顧客をアクションの対象に設定しています (図 5)。
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    図 5: 収益性分析に基づくアクション候補の判断
  • シナリオを問わず望ましい結果が得られるアクションがないか、調べてみてください。もしそのようなアクションがあれば、直ちに実施することをお勧めします。同様に、低迷を想定したどのようなシナリオでも影響を受けないアクションはないか、調べてみてください。保険への加入などのアクションは、ビジネスに十分なオプショナリティを生むのであれば、キャパシティ追加で生じるコストを負担できるかもしれません。

最後に
Anaplan は、シナリオベースの計画業務で大きな力を発揮するツールです。今回説明した手法を用いて、将来の予測力を高め、時代が変化しても生き抜くことのできるアクション プラン案を検討してみてください。

執筆者について
認定 Master Anaplanner、Mitch_Max
Mitch Max 氏は、コンサルティング パートナーとして Anaplan と 9 年間協業している BetterVu 社の創業者です。Max 氏は Lionpoint Group とも戦略的提携を結び、アソシエイト ディレクターとして在籍しています。Master Anaplanner 及びソリューション アーキテクトとして活動しており、FP&A の分野で 30 年を超える経験を積んだ CPA 及び熟練のコンサルタントとして活躍しています。Association of Finance Professionals の FP&A Advisory Board の名誉会員であり、Beyond Budgeting Round Table の初期メンバーも務めました。

英語版記事はこちら : Scenario Planning in Anaplan, Part II: From Insight to Action